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◆ ふつうの人の「出馬決意・出馬表明」 ◆ |
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目 次
栄光へのキックオフ
始動
新田から一言
転機
どん底
一票の重さ
もう一つの始動
真の友人とは…。真の友情とは
茨城県つくば市のデータ
※項目をクリックすると、項目の先頭へジャンプします。
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本編はここから  |
「市議会に立候補だぁぁ〜!?」
「あ、あんた何寝ぼけてんのよぉぉ!?」
「会社どうすんのよ。」「そんなお金ないわよ。」
「いったい、誰があなたに投票してくれるっての?」
「話は最後まで聞けよ。おれは真剣に考えてるんだ。」
「このまま、一生会社に奉公してなにが残る!?」
「せめて下の子が学校出てからにしてくれない?」
「今からが大変なのはあなただって解ってるでしょ?」
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■「ふつうの人」(職業はどうであれ、平均的な年収の旦那さん)の「ふつうの奥さん」に
「立候補」なんてことをほのめかすと、まあ、だいたいこんな反応が返って来るでしょうね…。
ちなみにこのご主人、名前は「志村健一」さん。もともと中堅ゼネコンの中間管理職。
しかし7年前に会社が倒産。その後地元の食品問屋「いかりや商店」に再就職。
スーパーや小売店を相手に営業に走る毎日。44歳、営業課長。
奥さんは「優花」さん34歳。上の子「克広」くん小5。下の子「典子」ちゃん小2。 |
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■一方で、「ふつうじゃない人」。
ここでは、41歳の青年実業家、そこそこお金もあり、「生活の不安」とは無縁な家庭にも出てきてもらいましょう。
彼は東京の有名私立大学を出て、実家の工務店を継ぐも、独自の営業スタイルで販売棟数を飛躍的に伸ばし、
県下有数の住宅販売会社「サクセスホーム」の社長に成り上がった人物。
名前は「渡辺篤」さん。41歳。奥さんは「利佳子」さん41歳。子供は「秀樹」くん小2。 |
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「へぇ〜。あなたがそんなこと考えていたなんて…。」
「でも、選挙って大変でしょ、お金もかかるし。」
「かかっても500万まではかからないはずだ。」
「選挙のほうはまず、吉田県会、泉谷市長に便宜を頼んで
あとは、取引先、JCの仲間、同級生たちを総動員すれば
2,000票ぐらいなんとかなると思うんだ。
親父の人脈もあるし…。」
「だいたい、矢沢みたいなチンピラがもう3期目だぜ、
おれが負けるわけ無いだろう。」
「そうね、あなたが負けるわけないわ。」
「あなたのためなら何でも協力するわよ。」
「大丈夫。あなたなら絶対に勝てるから。」 |
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| ■ 「栄光へのキックオフ」〜初めの第一歩 |
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■仮に、今が8月で茨城県常陽市(仮名)の市議会議員の一般選挙が半年後の来年2月だとしておきましょう。
ちょうど巷では、「選挙に立とう」と画策する人がそわそわし始める頃です。
■さて、志村さんと渡辺さん。この日初めて「選挙に出たい」という想いを第三者に話しました。
■まず、志村さんの方は、「話しただけ」で終わってしまいました。
当然のことですが、奥さんに反対されては今後思い通りに事は進みません。志村さん今日のところは完敗です。
■一方、渡辺さんは早くも奥さんの1票を得ました。確実に一歩を踏み出しました。
お金もありそうだし、人脈もあるし、なんたって社長ですから知名度も抜群でしょう。
「市長」に出てもおかしくなさそうな人物ですから、市議会くらいなんてことなさそうに見えます。
強そうな候補者になることは間違いないでしょう。
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「栄光へのキックオフ」〜初めの第一歩は…。
どんな人でもそうですが、まず、同居家族を説得することです。
配偶者がいる人は配偶者を、あなたが独身であれば「両親」・「兄弟」を、独居の人では「一番身近な人」を
納得させなければなりません。
しかし、「ふつうの人」にとってはこの初めの第一歩が難しいんです。なぜでしょう? |
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市議会議員=エラい人たち>うちの旦那
これがふつうの人たちの意識です。
当然、優花さんもこの意識の元に
「あ、あんた何寝ぼけてんのよぉぉ!?」
と、第一声を発したわけです。
優花さんが意識改革をしない限り、志村さんは「言葉」で優花さんを説得するのはムリです。
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その一方で渡辺利佳子さんは、
市議会議員=エラい人たち<うちの旦那
こういう意識の位置づけでした。
ですから「そうね、あなたが負けるわけないわ。」
さらりと言ってのけるのです |
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■ところで、《市議会議員=エラい人たち》という図式は果たして正しいのでしょうか?
●答えは…。???
答えを出す前にちょっと考えて見ましょう。
あなたも当然のことですが選挙民です。
今までに幾多もの選挙で、幾多もの候補者の名前を投票用紙に書いた記憶があるはずです。
さすがに国会議員や知事を選ぶ場合は、時勢や報道を参考にしたと思います。
そして、そこで書いた人の名は凡人ではなかったと思います。
しかし、前回の市議選、あなたは誰に投票しましたか? その人はエラい人ですか?
なにが動機でその人に投票したんですか?
@ そのひと本人、または知人に「私に(その人)に入れてくれ」と頼まれたから。
A 会社や同窓会等、自分が所属している団体がその人を推薦してたから。
B (その人には会ったことはないが)ポスターやチラシで好感を持てたから。
C 今までの実績や公約が評価でき、政治家としての姿勢に共鳴するから。
D お金や物をもらったから。
※ チラシを見て「あら!いい男」「好みだなぁ」で投票した場合はB、
チラシの文章をじっくり読んで「この人なら!」と思ったときはC。
■さて、市議会議員。エラいかエラくないかですが、Cの動機を集めて勝った人だけは「エラい」。
その他は全て「エラくない」。さらにDをやっちゃた人は、論外。
だって犯罪者だもん。同情の余地なし! よって、
《エラいのもいるけど総じてエラくない=ふつうの人そして論外もいる》
●これが解答です。
さらに付け加えると、上記の@〜C+Dの「投票動機」。
有権者側にもピタリとこれが当てはまります。
つまり、@〜Bの動機で投票した人は「ふつうの人」です。
Cの動機で投票した人は「エラい人」です。
Dの「もらっちゃった人」は論外です。
当講座では今後一切Dの人は相手にしません。
Dの人、退場ぉぉ!! 
そして、@〜Cの「投票動機」を分析→総合→施策することが
私、新田流の選挙術の極意であることを予告しておきます。
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ここで私は、志村さんに2つのアドバイスをします。
もちろん優花さんの意識を変えるために…、です。 |
一つ目のアドバイスは
市議会議員=ふつうの人=うちの旦那
まず、この図式を優花さんの頭に叩き込むことです。
市議会議員がエラいという妄想を覆さなくてはなりません。
しかし優花さんは志村さんの言葉は信じません。
なので、志村さんにちょっと作業をしてもらいました。
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まず、市役所に行って現職の市議会議員名簿を取ってきてもらいました。
次に、全議員の「詳細レポート」を作ってもらうべく1冊のノートを買ってもらいました。
そして、写真つきの市議会議員名簿を1名づつに切り分け、ノートを開いた左上に名簿を貼り付けてもらいました。
常陽市の議員は32名ですから、64ページの「詳細レポート」の原版ができました。
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普通、議会が発行する議員名簿には、氏名・年齢・住所・電話番号・最終学歴・職業・略歴・役職等が掲載されています。
ここで興味のある「職業」については、農業・会社役員・団体役員・○○店経営・政党職員・主婦・等の
抽象的な表記になっているのがほとんどです。
そこで、志村さんにはこのプロフィールを基に、各議員の職業実態調査をしてもらうことにしました。
調査といっても難しくはありません。
市役所の職員・行政区長・農業委員・土地改良区・JAの職員・市民オンブズマン等、
市政・行政に関わり深い人に聞いて廻るだけです。それをノートに書いていってもらいました。
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するとどうでしょう。「会社役員」なんて、営業実績の無い会社。
あるいはまともな会社でも「社長の弟・非常勤」だったり、「団体役員」でも単なる名義貸しだったり、
「○○店経営」なんてのも全くふつうの「八百屋の親父」だったり、
「農業」ってのも別に篤農でもない。つまり、「ほとんどの人が一般市民と並列」ということがよくわかるはずです。
それ以外にも○○議員は、「漢字が書けない」「スポーツ新聞しか読んでない」「酒乱」「女にだらしない」
「暴力団と付き合いがある」等、「明らかに普通以下の非常識な人間がかなりいる」
という情報が耳に入るはずです。そういう情報も全てノートに書き込みます。
《エラいのもいるけど総じてエラくない=ふつうの人そして論外もいる》
この図式を証明するのは簡単なことです。やってみましょう。 |
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しかし、まだ優花さんに話す段階ではありません。
『二つ目のアドバイス』を実行すると、自然にその機会を得ることになりますから、慌てない。慌てない。
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※この情報は、まず優花さんを説得するために使います。
が、その後あなたの選挙戦術を構築していく上で、超重要な役割を果たす大切なノートに成長して行きます。
決して外に漏らしてはいけません。ですから必ずあなた自身で作ってください。
そして、この行為は今後の最重要課題「リサーチ力」を身に付ける大切なステップです。
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二つ目のアドバイスは
市議会議員=ふつうの人≦うちの旦那
ここまで優花さんの意識を変えていきます。
大事なことです。優花さんには選挙対策本部長になってもらわなくてはなりませんから。
一気に父ちゃんの名誉回復をオペレーションします。 |
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さきほど、「投票動機」の説明で、
C 今までの実績や公約が評価でき、政治家としての姿勢に共鳴するから。
の動機を集めた議員は「エラい」。そしてその動機で候補者を選んだ有権者も「エラい」。そうお話しました。
優花さんの頭の中を
市議会議員=ふつうの人≦うちの旦那
にするためには志村さんに「エラい人」になってもらわなくてはいけない。
ですから、今から志村さんがやることは「自らが立案しようと思う政策・公約」で優花さんの一票を勝ち取ることです。
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■志村さんは幸いなことにパソコンをある程度操ることができました。
なんたって営業マンですから商品のチラシなん作るのはそれほど苦ではありません。
そこで私は志村さんに「市議会議員候補・志村健一」のカラーのチラシを自力で作るようお願いをしました。
実際は公職選挙法上「市議会議員候補」なんて言葉は使えないのですが、優花さんの一票を得るがためだけです。
本番用を作るときの手法は後で教えるとして、とにかく法規は無視して結構、条件を5つ付けて作るようにお願いしました。 |
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| その条件とは…。 |
- 優花さんが一番気に入ってる志村さんの写真を使うこと。
- 自分または、自分の心情を宣伝するコピーを必ず添えること。
- 社会人になった後のプロフィールは「汚点」も隠さず、全て詳細に記入すること。
- A4で片面1枚。折り目なし。縦横は自由。
- 公約は1項目。
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| ■ 始 動 |
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志村さんは早速作業に取り掛かりました。A4を縦にし、右上に若かりし頃の毛髪豊かな写真。
写真の左側から写真に向かってコピーが入る。中央に公約とその注釈。
右下にプロフィール、左下にあいさつ文とレイアウトはすぐに決まりました。
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そして、「いかりや商店」の全社員が帰った後、志村さんは一人パソコンに向かいました。
昼休みに鉛筆でレイアウトを決めていましたので、概ねその通りに写真を貼り付け、配置を決め、
まず、プロフィールを書き始めました。
- 昭和36年5月、東京都東村山市に生まれる。現在44歳。
- 昭和54年3月、東京都立東村山高校卒業。生徒会長でした!
- 昭和54年4月、茨城県勝田市の「ズンドコ建設株式会社」入社。常陽支店に配属。
- 現場監督・労務管理・営業・営業企画と社内の部署ほぼ全てを経験し、平成5年から常陽支店・支店長代理。
- 平成10年6月、「ズンドコ建設株式会社」倒産により失業。
ここまでは難なく書き上げました。しかし、ここで手が止まってしまった。
「…しかし新田さん、なんで汚点まで書けなんて言うんだろう。。余計なことは書かない方がいいと思うんだけどなぁ…。」
実は志村さんには苦い過去がありました。
当時のことを回想しては、その先の文章を考えるも、依然手は止まったまま、一時間が経過しました。
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時、既に午後10時。あまり遅くなっては優花も心配する。
ちょっと遅いかな?と、躊躇もしたけど志村さんは携帯電話を手にしました。
◆「新田さん、すいません遅くに…。」
◇「いえいえ。かかって来ると思ってましたよ。」
◆「そうですか、では気が楽だ。ところで、なぜ『汚点』を書かなくてはいけないんですかねぇ。」
◇「その前にねぇ、志村さん。コピーと公約は決まりましたか?」
◆「いえ、プロフィールから書き始めて、まだそこで止まったままフリーズです。」
◇「じゃあ志村さん、公約にどんなことを書きたいのか、今、私に話せます?」
◆「う〜ん。私みたいに一度地獄を味わった中年でも夢を持てる世の中にしたいんですけど…。
実際その具体的手法については、まだ勉強中というか、言葉にならないんです。」「甘いですかねぇ?」
◇「まだ、甘いです。でも志村さんあなたは極めてふつうの人ですよ。
志村さん、私は最初から、志村さんが100点満点のコピーと公約が書けるとは思ってませんでした。
ですから『汚点』を書くようにお願いしたんです。志村さんは地獄を経験されたんですよね?
その修羅場をくぐった経験の中に志村さんの本質が隠れているんですよ。
それがはっきりわかれば、『志村さんにしかできない』ことが見えてきます。
本番用のコピーと公約を書くためには絶対に必要な作業ですから、辛いでしょうけど『汚点』も全て書いてください。
解っていただけますか?」
◆「はぁ、そうだったんですか解りました。全部書き出して見ます。」
◇「まあでも今夜は遅いですから明日にしましょうよ。
ただね、あまり時間もかけてられないんで、コピーだけ私が今決めちゃいます。
そうすれば後がきっと楽になりますから、メモ取れますか?」
◆「はいどうぞ」
◇「パパだからこそできることがある! パパにしかできないことがある!
コピーはこれで仮決定です。今夜このコピーをパソコンに落としたら、もう遅いですからそろそろ帰りましょう。」
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しかしなあパパだからこそできることがある! パパにしかできないことがある! か。
確かに優花は説得できそうな気になってきたけど、これでは一般向きではないよなあ。
まあいいや!仮決定だと言ってたし。。
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| ■ 新田から一言 |
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塩野七生さんという女流作家がいます。知ってますか?
もう十数年前ですが「男たちへ」というエッセイ集を出されて、その本はずいぶん売れたと記憶しています。
私もそれを読みました。ただ、今手元にその本がないので、記憶だけでそのエッセイのごく一部を紹介します。
(抜粋ではないので、新田の言葉で書いています。)
演出家の和田勉さんが、超大物俳優の丹波哲郎さんと会談したときのことです。
その模様を塩野七生さんが書いています。
「丹波さん、役者さんてやっぱり演技をするときに、
観客というか視聴者にどうすれば受けるのかというようなことを考えているもんなんですか?」
「いや、ぼくは全くそんなことを考えたことは無いよ。」
「大衆に夢を売る役者さんが、お客さんのことを考えていないってどういうことなんですか?」
「撮影現場には監督がいて、プロデューサーがいて、そう和田勉みたいのがメガホンもってね。
そいつらがああしろこうしろって怒鳴ってるわけだよ。
ぼくはそのうるさい連中を満足させる演技をしてるだけなんだ。
なぜなら、お客さんがどうすれば喜ぶってことをよく知っているのは、僕ではなくて彼らなんだよ。
だから彼らが満足すればお客さんも喜んでもらえるってわけ。」
塩野七生さんは大役者のこの言葉に討たれてしまいます。そして、丹波哲郎に乾杯!と、この短編を締めています。
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◆一般的に選挙に出ようとする人たちが、ポスターやリーフレットを作ろうとすると、
とにかく万人受けしそうなコピーや公約を掲げてきます。しかもリサーチもせずにです。
「日本一の福祉都市へ」
「お年寄りに優しい街づくり」
「教育最優先」
私は、こんな曖昧な、付け焼刃のようなしかも大げさなコピーで戦おうとする候補者を応援しようという気にはなれません。
市議会議員の分際で「日本一の福祉都市」だとぉ! 足元を見ろ!
丹波哲郎さんを見習ってください。
彼は大衆に媚びていません。
彼は目の前の敵と真剣勝負をしているだけです。そしてその覇気が茶の間に届く。
あなたの身近で味方ではあるけれど、最もあなたに対して厳しい人を「政策論争」で納得させてください。
そのためには「うそ」「誇大表現」「その場しのぎの美辞麗句」は絶対通用しないことを理解してください。
そして、この難関で費やしたエネルギーは、数百票を産む原動力になります。
優花さんをはじめ、身近な人に真剣勝負を挑み、勝ち抜いていくことが、
「ふつうの人」が選挙を制する『基本姿勢』です。。
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さて、再び志村さんの登場です。
翌日もまた全社員が帰った「いかりや商店」で志村さんはパソコンを立ち上げました。
昨日、パパだからこそできることがある! パパにしかできないことがある!
と写真の左側に打ち込んでいました。「いやぁ、それっぽくなってきたなあ」。
モニターには上半分しか写らないので、ここだけ見てると結構カッコいい。
「よし!」志村さんやる気が出てきました。
昨夜、新田と約束したとおり、恥ずかしい過去を書き出す決心はついていましたので
早速「プロフィール」欄にカーソルを移動して続きを書き始めました。 |
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| ■ 転 機 |
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7年前、「ズンドコ建設」の倒産は全くその予兆を感ずることなく、志村さんの目の前に現実を顕にしました。
6月のことです。ちょうどその頃、優花さんは典子ちゃんを身篭っていました。しかも臨月。
志村さんの家は、その1年前に新築したばかりです。ローンを抱えたばかり、貯金も新築時に使い果たしていました。
ボーナス月である今月はその分の支払いもあり、志村家はいきなり「経済危機」を迎えてしまいました。
まもなく、優花さんはショックで破水しかけましたが、何とか典子ちゃんを産みました。
しかし難産であったため、その後1ヶ月間、家に帰ることができませんでした。
そして、得意先や下請けに一通り挨拶を済ませた志村さんが、いよいよ「失業者」という身分に落ちてしましました。

6月、本来支給されるはずのボーナスはゼロ。退職金も無し。
財形貯蓄も昨年の新築時に解約してましたのでその後の1年分、20万円程度しかありません。
優花さんの出産と、入院の費用を出してしまうと手元にはほとんど現金が残っていません。
しかし救いだったのは、「会社倒産」で失業したため、すぐに失業保険が給付されたことです。
失業保険はその後9ヶ月支給される。何とか食ってはいけるだろう。そのときはまだ心に余裕がありました。
家には産まれたばかりの典子ちゃんが居てくれたので、志村さんの失業生活はそれほど退屈せずに済みました。
3歳の克広くんもパパと一日一緒に居れることを喜んでました。
志村さんが「家人」となって2週間後「国民年金」の請求書。「住民税」の請求書が届きました。
志村さんは高校卒業後サラリーマンの経験しかなく、この手のものを見るのは初めてでした。
そして、社会保険事務所からは、「社会保険証の継続申請書」と振込用紙がその後まもなくとどきました。
それまで「支店長代理」ですから、年収は650万円あり、その請求額は志村さんを硬直させました。
(えぇ。こんなに…。払えるわけねぇだろう!)
なぜ? 失業でダメージを受けているこの弱いオレに…。なぜ国が行政がよってたかって苦しみを与えるのか?
しかも、優花さんは入院中。それに新生児が居る志村家です。何があろうとも保険証は継続させなければならない。
志村さんは冷静にそれらの請求額と、唯一の収入「失業保険の給付額」を比較しました。
もし、その請求額を月賦で支払っていったとして、失業保険の残額は14万円。住宅ローンの支払いは毎月8万円。
そう6万円しか残らない…。あと車のローンも…。
志村さんはまず、自分が乗っている「オデッセイ」を売り、80万円の現金を手にしましたが、
オデッセイと優花さんの「ムーヴ」の残債を清算すると20万円しか残りませんでした。
とにかく早く再就職しよう、志村さんは優花さんの「ムーヴ」で職安通いを始めました。
志村さんはまず、建築関係の仕事を探しましたが、「ズンドコ建設」も結局、
利益の出ない仕事しか請けられずに倒産していましたので、この業界に光はありませんでした。
その他の業種でも、興味の持てる仕事はほとんどが35歳以下での募集です。
しかも、志村さんの前職での月収は40万円を超えていましたので、
ここ職安にある求人ではどこに就職しようとも「失業保険の給付額」の方が上回っています。
志村さんは3日間職安に通って、職安からのアプローチをあきらめました。
「有限会社仲本電気工事」はズンドコ建設の下請けで、社長の「仲本総司」は志村さんと同い年でした。
志村さんの住む「豊郷ヒルズ」の至近にその会社兼自宅があり、彼らは仕事を超えた付き合いをしていました。
常陽市の出身でない志村さんにとっては大切な地元の友達です。
7月半ば、まだ日の高い土曜日の夕方6時、冷えた缶ビールを1ケース買って、志村さんは仲本社長を訪ねました。
「健ちゃん。気の毒だったねぇ」仲本社長は志村さんを労いました。
志村さんは典子ちゃんの誕生を報告した後、今の現状をほぼ隠さずに全て仲本さんに話しました。
そして、「でだ、仲ちゃん、オレをアルバイトで使ってくれないか? 職安にばれないようにってのが条件だけど。」
と切り出しました。
「なんだ、金借りに来たのかと思ったよ。そういうことなら即、協力できるよ。」
「でもさあ、ズンドコさんがつぶれちゃって、以前ほどの仕事はないんだ。毎日ってわけにはいかないかもしれないけど、
とりあえず来週いっぱいまでは仕事あるから来てくれよ。」
「ありがとう。助かるよ。」
その日はズンドコ建設をもう4年前に辞めて、現在「農業」を継いでいるかつての同僚、高木武一さんを後から呼び出して、
久々気心知れた仲間同士での楽しい宴会になりました。
志村さんの不安もこのときばかりは背から降ろすことができ、有意義な一日になりました。
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| ■ ど ん 底 |
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志村さんが仲本さんを訪ねた数日後、優花さんが退院し、
その夜はそれまで子供の面倒を見てくれていた優花さんの両親と共に、優花さんの快気を祝いました。
志村さんは既に仲本電気工事でのアルバイトを始めており、失業保険金がある間はなんとかなると、
優花さん・両親をなだめ、当面の安心を皆で確認し合いました。
結局、翌年の2月、失業保険金の給付期間いっぱいまで、この生活パターンを貫くことになります。
「就職すると逆に生活が苦しくなる。」ことがその理由でした。
このアルバイトの期間中に「ムーヴ」の車検がありました。
11月は仲本電気工事が暇で、アルバイトの収入がほとんどありませんでした。
12月には住宅ローンの「ボーナス月返済」がありました。
そして、志村さん、ついに「ほのぼのレイプ」の無人機をくぐってしまう。
借りれば当然返済義務が生じます。
本当の地獄は失業給付金が打ち切られる3月から始まりました。
こうなることは予測できることだったので、志村さんはそれまで数社の面接をこなして、
特に年が明けた1月からはアルバイトをそこそこにして、積極的に求職活動をしていました。
優花さんもあるいは万事休すと、新築のマイホームを捨て、市営住宅に移る画策もしていました。
しかし志村さんが失業中であるため、市営住宅は申し込む資格すらありません。仮に就職が決まっても空き部屋なし。
民間の借家では引越しに数十万円かかるし、家賃も現在の返済額とたいして変わらない。
志村さんも柏や東京、水戸までその求職の範囲を拡大していましたが、
どうしても譲れなかった「月30万円以上の手取り」を満たす仕事にはありつけませんでした。
2月末、最後の失業給付金が振り込まれ、同時に志村さんは「認定失業者の資格」を失いました。
もう待ったなし。志村さんは「月30万円以上の手取り」を下方修正しました。
そして、昨年11月に面接し、採用をもらうも辞退してしまった「いかりや商店」の社長にもう一回会おうと考えていました。
志村さんは今まで面接した中では、「いかりや商店」に最も魅力を感じていました。
それに、入社を辞退したときに「気が変わったらいつでも来いよ!」と社長に温かい言葉をかけてもらっていました。
いかりや社長は志村さんの再来を素直に喜んでくれました。
「月30万はなかなかとれめぇ!」
「はい、甘かったですね。」
「うちは土日は休み、夜は遅くても8時、総支給額で32万だ。手取り26万くらいかな、どうだ?」
「はい、結構です。」
「よおし!じゃあ明日から来てくれ!営業主任だ!がんばれよ!」
180cmの巨漢は立ち上がり、志村さんの手を握り、左手で肩をポンポンと叩くと、「お〜い!加藤!」と大声を張り上げ、
応接間を大股で出て行きました。
志村さんはその帰り道、まず、今まで世話になった仲本さんに深々と礼をし、優花さんの元に帰りました。
「優花、明日からパパお勤めだ。」
「いかりやさん採ってくれたのね、よかった。」
「でもなあ、手取り26万円位だそうだ…。ボーナスも満額もらえるのは12月だし…。あと5万は足りないだろう。」
「そうねぇ、でも…。」
仕方なかったとはいえ、今となってはサラ金に手を出したのが悔やまれます。
年末に「レイプ」から30万円。その後も「アコギ」で枠を作り30万円。そしてもともと持っていた「オゾンカード」の
キャッシング枠もほぼ限度額いっぱいに借りこんでいました。
なのでその返済を考えると、あと5万、いや10万足りない。
「いかりや商店」に出社すると、加藤営業課長が志村さんの教育を担当することに決まっていました。
いまは3月、加藤課長は花粉症なのかしきりにくしゃみを連発しています。
「まずユニフォームね、Mでいいかな。」「名刺は明日刷り上るけど、まあいいや今日はおれと同行だよ。」
そして一週間後もう一つの面接を受けます。
志村さんは、「優花さんがパートに出れるようになるまで」と限度を決め、月・水・金の夜間2時までと日曜日の日中、
中華レストラン「バーバヤン」の厨房でアルバイトすることにしました。
志村さんの昼夜兼行、二足のわらじを履いた生活はスタートしました。
この当時37歳だった志村さんは2ヶ月もするとこの生活にも慣れてきました。
「いかりや商店」での仕事はほとんどが外回りだったので、チョコチョコと昼寝もできて、
どうにか毎月の支払いは間に合わせることができたし、双方に迷惑かけることなく両立していました。
しかし高金利の借金は支払いを重ねてもほとんど減ってはいきません。
克広君は幼稚園に入ったので行事も増えて、支出も増えてゆきます。
返済をして、枠ができるとまた借りてしまう。そんなことを繰り返して1年以上が経ってしまいました。
結局は債務は増えている。「借り易さ」は志村夫妻の倫理を完全にマヒさせていました。
そんなある金曜日、「バーバヤン」で働く志村さんに事件が起きます。
その日はウエイターの一人が急に休むことになって、店は大変な忙しさでした。
80坪もある客席にウエイター一人ではお客さんをさばききれません。
こんなときは厨房担当も、客席に出て行き、片付けくらいは手伝うものです。
5人の団体客が会計に向かったのを見て、志村さんはワゴンを押して食器を片付けに客席に向かいました。
そのとき強い視線を左側に感じました。
「社長!」
「志村!」
志村さんは口だけ空けて何も言えません。
それでも何とか正気を取り戻し、いかりや社長のテーブルに歩み寄ろうとしました。
見知らぬ同年輩の男性と二人で居る社長は、歩み寄る志村さんを手合図で制しました。「来るな!」と。
厨房に戻ったあとも志村さんは社長のことが気になって落ち着きません。
そんな志村さんの心情を飲み込んだのか、いかりや社長はその後すぐに退店しました。
翌日。よく晴れた5月の土曜日です。土曜日は志村さんにとって唯一の「昼夜完全休日」です。
普段なら昼過ぎまで熟睡する土曜日ですが、昨夜のことが気になって、11時前には起きてしまいました。
「オレ、会社クビになるかも…。」
志村さんにとっての朝食、優花さんにとっての昼食をとりながら、志村さんは今日中に社長に会おうと決めていました。
ちょうどその頃、いかりや社長は会社の事務室で志村さんの履歴書と、職務経歴書を改めて読み返していました。
「豊郷ヒルズ」か、まだ建てたばかりだな。総予算4000万円は超えてるなぁ。
ズンドコ建設の支店長代理だったらこの程度の買い物はできたわなぁ。
根っから地元のいかりや社長は、履歴書と職務経歴書からおおよその志村さんの財布の中身を推察できました。
いかりや社長はすぐに行動に出ました。
志村さんの携帯が鳴る。「あ!社長からだ!」「はい志村です。」
「おい!今どこだ?」
「自宅です。昨日はどうも…。」
「今からすぐ行く。家に居ろ! いいか!」
それだけ言うと社長は電話を切りました。「優花、社長今から来るって。とにかく謝ってみよう。」
30分後、「オイーッス!」180cmいかりや社長のエネルギーに満ち溢れた声が玄関にこだましました。
志村さん、優花さんは二人で社長を出迎えました。
「いやぁ!立派な家だなぁ! ああ奥さん、初めまして、いかりやです。志村君には本当にお世話になってます。」
「いえ、社長さんそれは私の言葉。主人がいつもお世話になってます。この度は…。」
「この度は…。それはあとだ。私はなにも志村をとっちめようと思って来たんじゃないんだ。上がらせてもらうよ。」
「おい!志村、悪いな、まだ寝てたんじゃないのか?」
「いえ、起きてました。社長!すいませんでした!」
「すいませんでした? それもあとだ! いいから頭を上げろ! 奥さんも!」
志村さんはクビになっても仕方ないと、覚悟は固まってましたので、これまでの顛末を全て隠さず話しました。
「そうするとだなぁ、レイプが50万。アコギが50万。オゾンが50万。ポケットパンクが50万で計200万か。」
「それだけだな!」いかりや社長は念を押しました。
「はい。」
「志村!。今夜オレのうちに来い。弁護士に会わせる。債務整理をしろ!200万くらい出してやってもいいんだが、
まっとうに返済したんでは、またおまえは借りるかもしれない。弁護士の費用と残債はとりあえずオレが立て替える。
1度敗北の味を知れ!そしてもう苦しむな! 毎月3万円給料から、ボーナスから10万円差し引く。いいか?」
「それと志村、月曜から係長だ。係長の役付手当ては3万円だったかな? やってくれるか?」
「社長!」「ありがとうございます。」
「それと奥さん。ウチの倉庫の伝票処理が間に合ってないんだよ。ときどきパートで来てくれないかな?
どっちかのおばあちゃん、週に3日ぐらい孫の面倒を見に来てもらえよ。」
「社長さん…。」優花さんも志村さんもそれ以上言葉が発せなかった。
そして、もはや志村さんは自制がつかずにいた。いかりや社長に近づくもその膝元で、額を床につけ嗚咽してしまった。
そしてその月の末で「バーバヤン」を辞めました。

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パソコンを前に回想に浸っていた志村さんはいつのまにか落涙していました。
そして、この顛末はプロフィール欄には書ききれなかったので、
「あいさつ文」の中で要点を押さえて書き綴りました。
本当に無力であった失業中、国や行政は志村さんを追い込みました。
雇用保険で一定の期間、社会保険料を保障したり、国民年金の支払いを免除したり、
住民税や固定資産税の支払いを猶予したり…。
これらは国の機関で決めることで、市議会議員にはどうにもできないことではあるけれど、
「本当に困った人の、せめて相談くらいには乗ってあげたい。」
なぜ議員になりたいのか? 今まで自問自答しても明確な言葉がなかった志村さん。
このとき、気がつきました。自分の情熱の源泉を見ました。
「新田さん。よくわかったよ。『汚点を書け』その理由が…。」
『汚点』はあいさつ文の中で書き上げましたので、プロフィール欄の余白に家族4人の写真を入れました。
そして、公約には
失業・破産・事故・病気…。本当に困ってしまった。そんな人のために
市民経済相談室を作ります!
家族を守るお父さん・お母さんをバックアップします!
と書き込みました。志村さんの立候補動機、情熱が初めてメッセージになった瞬間です。
「誇大」ではない、「等身大」の志村さん自身、そして志村さんにしかできない「決意」。。最高の公約です。
(本番用にはもう一工夫必要ですけど)
志村さんは早速ここまでの書面をメールで私に送ってくれました。
◇「志村さん上出来ですよ。」
◆「しかし、借金のことなんて、今まで誰にも言えなかったことなんですけどね。優花、なんて言うかな?」
◇「志村さん、書面にしたからなんですよ。どんな人でもそうです。自伝を書くとね、
どんな恥ずかしいことでも書けちゃう。そしてね、読んでもらいたいって思うようになるんです。」
◆「全くその通りだ、私は躊躇なくこれを新田さんに見せることができて、しかも誉めてもらいたがっていた。」
◇「ええ、志村さんはすごいですよ。すごい勇気のある人だ。」
◆「ありがとうございます。いやほんと。自信が出てきましたよ。」
◇「志村さん、では今週の土曜日。優花攻略オペレーション実行しましょう。
その前にもう文章は直さなくていいですから、デザインをもうちょっと、書体や色、背景。
検討してみてください。ところで優花さんには好きなプロ野球のチームってあります?」
◆「ヤクルト。高津が帰ってきたんで大喜びですよ。」
◇「じゃあ決まった。紺・赤に近いピンク・グレーの3色・あと背景にストライプ地を使って仕上げてください。
優花さん喜ぶでしょ?」
◆「そりゃいいや、では明日、できたものを送ります。」 |
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| ■ 一票の重さ |
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平成18年8月26日土曜日午前8時、志村家は4人で朝食を済ませました。
お兄ちゃんの克広君は今日から一泊の野球の合宿に出かける。優花さんは克広君の支度を手伝っていました。
典子ちゃんは今日明日、パパ・ママを独占できることを既に感じ取って、ご機嫌です。
9時過ぎ、克広君を集合場所の小学校に送り、バスを見送ってから優花さんが戻ってきました。
◇「あなた、今日はカッちゃんいないからお昼、外に行かない?」
◆「ちょっと、疲れててさあ…。昼寝しようかと思って。夜出かけようよ焼肉!昼はそうめんがいいなあ。」
◇「そうめん!?…。」志村さんは、そうめんがないことを知っててそう言いました。
◇「のりちゃん、ママとお買い物行く?。 あなたそうめん無いの。ちょっと典子連れて買いに行って来る。」
ここまで志村さんの計画通りです。
優花さんが出かけたあと、志村さんはできたてのカラーで刷ったチラシ3枚、職業実態調査のレポート
新田が書いた「ふつうの人だからこそ勝てる!!逆発想の地方議員選挙必勝マニュアル」を
リビングのローテーブルに並べました。そして優花さんの携帯を鳴らしました。
◆「ちょっと仲本の家行って来る。昼には帰るからさぁ、そうめん用意しといて。」
◇「帰って来るのね、わかったよ。」
志村さんはいかりや商店の社用車「カローラバン」に乗って、出かけました。
◆「2時間の時間潰しか…。本屋にでも行くか。」
優花さんと典子ちゃんは無人の志村家に帰ってきました。
●「ああ!パパだぁ! ねぇママ、パパ、カッコいいよ!!。」 リビングの典子ちゃんがはしゃいでいます。
典子ちゃんはローテーブルの「チラシ」片手に優花さんに寄り添ってきました。
「パパぁ!」優花さんの衝撃は、感動に近いものがありました。」
典子ちゃんの言うとおり確かにカッコいい。
パパだからこそできることがある! パパにしかできないことがある!
優花さんは喉が詰まり、目頭が熱くなりました。
そして、公約・あいさつを読むと胸が熱くなるのを感じました。
十数年前の「希望に満ちた」志村さんがそこにいたのです。
「私が愛した、強くて正義感いっぱいの健一さん。」がタイムマシンに乗って帰ってきたのです。
12時過ぎ、44歳の志村さんは「恥ずかしいなぁ!」「照れるなぁ」と思いながらも威厳を装って帰ってきました。
優花さんはその間に、他の書類にも一通り目を通してました。
「ただいまぁ!」
「パパァ! これちょうだい! ジイジに見せるんだ!」
「典子、これはダメだよ。もっといいのが出来るから、そのときにあげるよ。」
「あなた…。」優花さんははにかんでいます。
「そうめん、できてるのか?」
「まだだけど、すぐだよ、ちょっと待ってて。」
優花さんは満面の笑みを浮かべて、キッチンに振り返りました。
「これで舟が出せる。」
志村さんは安堵と満足に浸り、食卓につきました。
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二つ目のアドバイスを敢行するまで随分紙面をとりましたけど、このプロセスは重要です。
そして手を抜くことなく敢行することに意義があります。
言葉ではなく、単なる手紙でもなく、志村さんの行動を形にした。だから成果があったのです。
今、ここで対象は奥さんの優花さんでした。
志村さんは今後、後援会長に「いかりや社長」。
そしていまから立ち上げる政治団体の役員に「仲本総司」さん。「高木武一」になってもらおうと
考えています。
くどいようですが、志村さんにはお金がありません。ということは、
「いかりや社長」も「仲本さん」も「高木」さんも無給で協力してもらわなければならないのです。
3人を動かす原動力は何でしょう。「志村さんと優花さんの行動を形にする」しかありません。
では、今後選挙民を動かす原動力は何でしょう。
「志村さん・優花さん・いかりや社長・仲本さん・高木さんの行動を形にする」ことです。
いいですか?「志村さん・優花さん・いかりや社長・仲本さん・高木さんの行動を形にする」ことです。
「志村さん・優花さん・いかりや社長・仲本さん・高木さんの人柄や人脈」ではなく、
あくまで行動を形にする」ことです。
そして、この行動がある程度評価されるものになったとき、風が吹きます。
猛烈な追い風が志村さんを押し上げてくれます。
私はこの追い風を吹かせる術を、志村さんに教えることが出来ますが、
それはまだ先のことです。
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| ■ もう一つの始動 |
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もう忘れているでしょう? 渡辺篤さん。
今度は「お金あるよ。」「知名度あるよ。」「信用あるよ。」
41歳の若社長、渡辺篤さん、利佳子さんの登場です。 |
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志村さんが行動に出た、平成18年8月26日土曜日。渡辺家でも行動を開始していました。
渡辺家ではこの日、10人の友人を招いての大ホームパーティーを企画していました。
渡辺さんの家は、さすが「サクセスホーム」の社長。見事です。200坪以上の敷地はイングリッシュ風で統一され、
草花の大好きな利佳子さんが、普段の手入れを欠かさずにいましたので、集まった友人たちも感心しきりです。
2×4の洋風邸宅は、高い勾配の屋根と、円形の窓、ステンドグラス、その他にもたくさんの意匠が込められ、
「モデルハウス」以上の仕上がりです。
今日集まった10人のうち5人は、公私共々の付き合いで、青年会議所の仲間でもある「社長」もしくは「社長二世」たちと、
中学校以来ずっと地元に居て、仲のよかった同級生5人。
妻帯者は、夫人と子供を連れてきていました。
渡辺さんは中学校は地元の公立「大穂山中学校」を出ましたが、
高校は東京・全寮制の「昭和学園」だったので、地元に高校の同級生はいません。
青年会議所の仲間たちはの内訳は
香取健吾…38歳。香取造園土木専務。独身。
草薙剛志…39歳。焼肉チェーン店「白頭山グループ」代表。
木村琢也…41歳。木村税務事務所代表。
中居正彦…42歳。県南広告デザイン専務。
稲垣八郎…42歳。イナガキ高速物流専務。
一方、大穂山中学校の同級生たちは
浜田雅行…41歳。JAいばらき常陽 総務課長補佐。
松本浩志…41歳。個人経営のウェブデザイナー。独身。
山崎邦一…41歳。常陽中央病院経理課長。
田中直治…40歳。東部建材配送課長
遠藤章二…40歳。農業。
渡辺さんはゆくゆくこの10人に選挙事務所の実務をお願いするつもりでいます。
しかし、今日この場所に皆を招待するに当たっては、「大事な話をする」とだけ予告し、選挙のことは話していません。
なので、今日は事実上の「出馬表明」をすることになります。
今日は1時集合でしたが、渡辺さんから見て後輩の香取さん・草薙さんは12時前には到着して、
準備を手伝っています。草薙さんは肉の手配も頼まれていました。
渡辺さんと香取さんが、いすやテーブルを運び出し、氷水を張った子供プールに飲物を放り込む。
草薙さんが炭火を起こし、肉を鉄串に刺して皿に盛る。
利佳子さんと草薙夫人は、揚げ物中心のオードブル・パスタ・サラダ・果物を盛り付け、
西洋松の木陰に置いたテーブルに、一皿づつ運んでいます。
1時前、次々と「来賓」が着き始めました。
遠藤さんが収穫したての「とうもろこし」「しいたけ」「なす」を、ダンボールいっぱいに運んできて会場を沸かせました。
1時。すでに全員が集合していました。準備もしっかり出来上がりましたが、JC組と同級生組が分かれたままです。
これは仕方ない。とにかく乾杯しよう。「利佳子ぉ〜!乾杯するぞ!」
「あいさつはあとね、暑いからまず開けようよ、カンパァ〜イ!!」
「あ〜美味い! 渡辺さんはじめての人も多いからさあ、まず今日の主旨、説明してよ。」木村先生が言いました。
「じゃあ、飲みながら聞いてください。」
「本日は、急なお呼び立てにお付き合いいただきまして、ありがとうございます。まず、こちらの5人、
青年会議所の仲間たちです。そしてこちらの5人は大穂山中学校の同級生たちです。職業は皆バラバラですが、
私の大切な友人であることが、共通点です。今日は本当に来てくれてありがとうございます。」
「さて、本題ですが、実は私、来年2月の市議会議員選挙に、立候補することを決めました。
昨年、常磐新鉄道が開通し、まさしくこの常陽市は県下1番の都市に躍り出るチャンスです。
しかし、現在、新鉄道の波及効果が出ているでしょうか? 私は、ちょっと駅周辺の大型店舗が潤うくらいの
経済効果では、まったくこの新鉄道の効果が現れていないに等しいと思います。
本物の効果は、県外から移ってくる新しい市民を迎えることに尽きると思います。
『サクセスホーム』は幸いにも今現在順調です。しかし、これまでの長い不況で、苦しい思いをしている
同業他社がたくさんあるじゃないですか。私はこの業界のためにも力を発揮したい。そう思うようになりました。
具体的には、インターナショナルスクールを創ること。小中高の一貫教育ができる学校法人を誘致すること。
これが、わたしが公約にしたい2項目です。
教育・子育てに最適な街を作ることが、新住民誘致の得策だと思います。
そんな私を、どうか皆さん、支えていただけないかと思い、今日は集まっていただきました。」
約3分、長すぎず短すぎず、絶妙のいいタイミングで渡辺さんはあいさつを済ませました。
「選挙かぁ、おもしれえじゃねえか! やってやるよ大丈夫だよ!」と木村先生。
「渡辺、市議会じゃもったいねえよ、市長を目指せよ。」と浜田さん。
ほぼ全員賛成で、この場は盛り上がりました。そして酒も進み、皆が思い思いの言葉で、渡辺さんを激励しました。
利佳子さんも夫人たちに囲まれ、暖かい言葉をたくさん受けました。
渡辺さんも上機嫌に酒が廻ってきました。
「松ちゃん! 選挙用のホームページ頼むよ。」
松本浩志さんは、「うん…。」気合のない返事です。
「渡辺、悪いけどオレ帰るよ。胃の辺りが調子悪くてさっきからほとんど飲めないんだ。場を壊さないように
スッといなくなるからさぁ、あとでみんなによろしくな。」
「そうだったのか、わかった。黙ってるよ。 でもちょっと待ってな。利佳子!。」
「松本さん、すいません、ありがとうございました。これつまらないものですけど…。」
利佳子さんは小さな紙包みを、松本さんに渡しました。そして松本さんは宴たけなわの渡辺家を後にしました。
松本さんは仮病です。そして、この場には居たくない。はっきりとした理由がありました。
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■ 真の友人とは、真の友情とは…。
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松本さんは、まっすぐ自宅権事務所のアパートに帰るつもりでいましたが、どうも胸にイヤな物が支えて落ち着きません。
待つ者の居ないアパートに帰る気になれず、東に車を走らせ、色街・土浦に向かいました。
独身の松本さんには時々息抜きをする、なじみの「店」がありました。
「ご指名は?」 「ヒトミ」 「あいにく今日ヒトミさんは…。」 「じゃあ任せるよ」
よく喋る、気立てのよさそうな娘が付きました。しかし美人ではない…。 「豊満」を超えた体型。 「はずれ…。」
仰向けのまま、彼女に全てを任せ、松本さんは「胸につかえるイヤな物」を押し出す努力をしました。
出した大枚には不釣合いでしたけど、「癒された」松本さんは車に乗り、「紙包み」を開けました。
どうやら、石鹸らしい。透明のラップは紫色の固体を包んでいました。
そして、名刺大のメッセージカードが添えてある。
メッセージを読んだ松本さんは、事の重大さをすぐに理解しました。「大事件だ。」
時計を見る。6時過ぎ、「もう終わってるよなぁ」 日も暮れようとしていました。
松本さん今度は常陽市の西の果てを目指していました。40分後目的地に到着。
「有限会社 島田モータース」の大看板の下で車を止め、そして灯りの点いている事務所へ進みました。
事務所の入口には「常陽市議会議員 島田紳平 後援会事務所」。もうひとつの看板がありました。
「兄ちゃん。居る?」
「おお、浩志か、上がれよ。」
松本さんの母の姉の長男、つまりいとこの島田紳平を、子供の頃から「兄ちゃん」と慕っていました。
島田紳平さんは45歳。松本さんの4つ年上です。
6年前、島田さんの家近くを流れる「大貝川」河川敷に、産業廃棄物が投棄され始めたのをきっかけに、
付近住民と共に「NPO法人・大貝川環境保全会」を立ち上げ、関係諸機関に投棄の中止を求め活動を開始しました。
その間、暴力団や右翼系政治団体から度重なる「いやがらせ」を受けましたが、気丈に主張を繰り返しました。
そしてその働きは、大貝地区住民に評価され、大貝地区の圧倒的な支持を受け、3年半前市議会議員に当選しました。
現在は投棄行動も見られなくなりましたが、「自然環境復旧」のために1円でも多くの予算を獲得することが、
島田さんのライフワークになっています。
そんな「兄ちゃん」を松本さんは尊敬し、慕ってます。そして、「島田モータース」「NPO大貝川環境保全会」
「常陽市議会議員・島田紳平」と3つのホームページを作成し、記事の更新やブログの管理もすべて任されて
いました。個人経営の松本さんにとっては、「大口顧客」でもあったのです。
さらに、前回の選挙で、松本さんは「事務長」を務め上げていました。ですから選挙には一角ならぬ知識を備えています。
「兄ちゃん、『サクセスホーム』の渡辺篤って知ってるか?」
「ああ、知らねえわけねえだろ。おまえの同級生くらいじゃなかったっけか?」
「そのとおり、いまだに仲良くしててさ、『サクセスホーム』のホームページもオレが作ったんだよ。」
「そうか、大した男だよなぁ、奥さんがまたよく気が利く人で、サクセスホームの重鎮だと聞いたこともあるけど…。」
「うん。よく出来た嫁だわ。ただ出来すぎなのも困ったもんだど。兄ちゃん。 これ見てみ!」
「ん…。」
親愛なる皆様方へ
本日は渡辺のためにお集まりいただきましてありがとうございました。
来る2月の選挙戦。私も全力で渡辺を支えてゆきます。
皆様には、これからたくさんのご迷惑をおかけすることになってしまうかもしれませんが、どうかご支持いただけますようお願いいたします。
これを機に、今まで以上のお付き合い…。
末永いお付き合いが出来ますことを祈っております。
残暑厳しき折、どうかご自愛くださいませ。
本日は本当にありがとうございました。
平成18年8月26日 渡辺利佳子
★この石鹸は、私の手作りです。拙宅の庭で栽培したハーブと天然素材だけで作りました。 |
「浩志、おまえこれ…。」
「兄ちゃん、最初から説明するよ。今日、渡辺の家のバーベキューパーティーに呼ばれて行って来た。
中学校の同級生がオレ入れて5人。浜田も居た。あと青年会議所の連中が5人と女房子供たち。
オレが知ってたのは香取造園のせがれと、中居広告のせがれ、イナガキ物流のせがれの3人。
誰も選挙の話とは聞かされずに集まった。で、渡辺が 『事実上の出馬宣言』 をぶちあげたんだよ。」
「おまえそれじゃあ次の選挙は…。」
「兄ちゃん、心配すんなよ。オレは何があっても 『島田紳平』 の選挙事務長だから。
渡辺のあいさつのあと、すぐに事情を説明しようかと思ったんだけど、20人も居る会場では切り出せなくて、
実は、仮病使って中座したんだ。浜田だけが本当の理由を察していると思うけどね。
ついでに言っておくけど、会費は取らなかった。全部、渡辺の負担だった。
渡辺には正直に兄ちゃんのことを話すつもりだけど、その前にこのカードだよ。兄ちゃんならどうする?」
「知らないってことは恐ろしいことだな。浩志、おまえ友達ならまず、渡辺の身の安全を案じてやることだよ。
渡辺だけじゃない。どうかすれば奥さんも実刑だし、これをもらった連中だって、調書とられて罰金か
公民権停止なんてことになりかねない。。そんなことになったら渡辺、おしまいじゃないか。まだ若いのに。
もし、市長選で1対1の選挙だったら、オレはこの特級の証拠、伝家の宝刀を抜くかもしれないけど、
市議会は32人分も枠があるんだ、渡辺が出ようが出まいがオレの選挙には関係のないことだ。」
「兄ちゃん、さすがだよ。よくそう言ってくれた。
まず同級生のあと4人は、明日浜田と一緒に回収して処分できるけど、問題はあとの5人だ。
みんな偉そうだけど、結局親父の看板で食ってる連中だもん。やつらがこれを持ち帰って、親父たちの目に触れたら
大変なことになっちまうよ。」
「浩志、中座したんではすぐ戻って忠告できなかったのかよ。」
「いや、兄ちゃん。オレ渡辺の家を出て、すぐ土浦行っちゃったんだよ。包みを開けたのはそのあとなんだよ。
8人も人妻がいてさあ。ムンムンの香水嗅いでたら、もう迷いはなかった。直行だよ。」
「風呂か? 自分だけ連れ合いがなくて、寂しい思いしたんだな。で、どうだった。」
「森三中の大島ってとこかな。見事にハズレ引いちゃった。もうその話は終わり!。」
|
 |
翌日、8月27日日曜日。
「あ、浜田さんですかぁ? わたくし大穂山の松本と申しますけど、ただいまからお邪魔してもよろしいでしょうか?」
「なにごちゃごちゃ言ってんだよ。家にいるから来たらいかっぺ。」
「はい、ではただいまから出発いたしますので10分後には到着いたします。」
「わかった、わかった、早よ来い!」
10分後。浜田宅の玄関。
「浜田さ〜ん。大穂山の松本です。突然おじゃましましてすいませ〜ん。」
「その言葉使い、もう止めい!」「いいから上がって来い!」 松本さんは明らかにふざけている。
「あ、これはお休みのところ、申し訳ありません。」
「なんなんだよ、おまえは!」
「いや、親しき仲にも礼儀ありと言いますからねえ。」
「そんな礼儀いらんわい! 適当に掛けてくれ。」
「渡辺にも困ったけど、おめえも複雑な立場に立たされちまったなぁ。どうせあのあと島田さんとこ行ったんだろ。」
「うん。その前に風呂に行ったのが失敗だった。もしあの包みをすぐに開けていたら今日慌てなくて済んだんだけど。」
「ソープか? 早く嫁取れよ。 ところであのカードがまずかったのはわかるけど、どの程度のもんなんだ?」
「仮に今、あれが表面に出たとして、有罪になるかどうかは微妙だな、ただ、 『立候補したら即逮捕』 というような
警告は出るよ。そこで素直に応じなければ、『公民権停止』。つまり逮捕予告か、公民権停止。
どっちにしても立候補出来なくなるわけだ。
もし、立候補の手続きを済ませたあとに出てきたら、逮捕だねえ。仮に奥さんに全部罪を被せようとしても、配偶者では
連座の対象だよ。もしそのまま選挙になって当選しても、当選剥奪。」
「そこまでやるか?警察にしても選管にしても。」
「証拠が存在すればやつらはやるよ。たとえ買収の金額が100円であってもね。このカードは誰がどう見ても
2月の選挙に協力してくれ、という依頼文。しかも石鹸つきだってことまで書いちゃってる。
証拠としては出来すぎだよ。取調べを受ければ酒食を提供したことまでバレるからなあ。多数人供応罪が成立するよ。」
「回収するしかないな。すぐ渡辺んち行こうよ。」
「浜田、その前によ、渡辺のあいさつ聞いててどう思った?」
「おまえもかぁ…。感じていたか…。綺麗ごと言ってるようだけど、結局は利益誘導がその本質だよな。」
「オレは兄ちゃんとどうしても比べてしまうんだ。兄ちゃんは必要とされて議員になったけど、
渡辺ははたして、議会に必要な人物なのかと、考えても渡辺が市議会に必要な理由が見つからないんだよ。
だけどよ、やつの実力はさあ、今の議員たちよりは上だと思う。
そう考えると渡辺にがんばってもらいたいとも思うんだけど…。 でもなあ…。」
「おまえ、すでに渡辺の立候補は無しという前提で喋ってるみたいだな。止めさせるつもりか 立候補。」
「ああ、今回はな。」
「カードが回収できれば問題ないだろうよ。」
「でもさあ、やつが言ってた インターナショナルだの、小中高一貫 だとか、あれは市民が欲しているものなのか?
だいたい、日本の総人口は去年から減少に傾き始めたんだ、学校を新設する必要性は極めて薄いよ。
確かに市に金は落ちるよ。だけど、市議会議員の仕事じゃないよ。市議会議員は常に市民のそばにいるべき。
オレはそう思うよ。渡辺の思考も背景も、元々市議会議員の器じゃないんだよ。」
「殊勝なこと言うようになったなぁ。いっそおまえが市議会でたらいいや。で、おまえ渡辺を説得できるの?」
「2年後の県議会を勧めてみる。どうだ? これは踏み絵だ。やつが本気で政治家を目指すのか、
建築業界の利益のために議席が欲しいだけなのか、やつの本心が見えてくるよ。」
「ん〜。確かに県会でも、渡辺なら十分戦えるなぁ。いや、渡辺には県会の方がふさわしいよ。名案かもしれない。」
「今回、自分が無知であったこと、利己的な発想で公約を作ったことを反省してもらってだな、それでも政治家への
情熱があり、今から準備するんであれば、2年後、オレはやつの県会選、全面協力してやってもいい。
ぐつぐつ言ってるようだったら、一切 手を引く。」 「浜田。そういうことで合わせないか?」
「うん。今回、出だしからして、供応罪をすでに犯しているし、証拠もばっちり残しちゃったからな、
仕切りなおしたほうがいいかもな。」
|
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松本さんの車の助手席に浜田さんが乗り、二人は渡辺家を目指しました。
その間、浜田さんは山崎さんに電話をかけています。
「田中は家に居る、事情は説明した。遠藤はたぶん畑だろう、電話が通じないから行って見てくんないか?」
「わかったよ、オレもさぁ昨日女房と 『これまずいんじゃないか』 って話してたとこなんだよ。
とにかく田中の分と遠藤の分はオレが行って回収してくるよ。」
渡辺家には昨日見かけたBMWとソアラが停まってる。
「誰か来てるなあ、昨日の連中なら好都合だな。」
門をくぐると、ウッドデッキに4人の人影がありました。渡辺さんと利佳子さん。
そして昨日の稲垣さんと中居さんでした。
「これの件で来てくれたのか?」渡辺さんがメッセージカードを指しました。
「その通り、よかったそちらさんも気がついたんだ。」
「本当に申し訳ありませんでした。私が至らないばかりに…。」利佳子さんがうなだれる。
「奥さんに悪気が無いことは明白だよ。ただなんの予備知識も勉強しなかった渡辺には責任があるぞ。」
「松ちゃんの言うとおりだ。本当に申し訳ない。」
「でだ、急ぐはカードの回収だけど、こっちは遠藤だけが不通で、山崎と田中はOKだ。稲垣さんの方は?」
「全員に連絡はついているけど香取が 『物が見つからない』 って、今探してもらってるんですよ。」
「見つからない!?。親父が持っていったかな? 香取の親父といえば有名な選挙通だよなあ。
中選挙区の時代は中村喜三郎の後援会の幹部だし…。最も厄介な人物の手に渡っちまったことになるなあ。」
「もし、香取の分、回収できなかったら大変ですね。」と中居さん。
「いや、そうあきらめるのもまだ早いと思うんだ、手の打ちようはあると思うんだけど。」と渡辺さん。
「おい!渡辺!」突然松本さんが大声を出しました。
「おまえ、なにもわかってないな! 手の打ちようがあるって、もしこれが明るみに出たら
多数人供応罪だぞ。おまえだけじゃない。奥さんを前科者にできるのかよ。」
「いや、弁護士に相談してからでも遅くないと思って…。」
「たわけ! 昨日来ていた10人とその奥さん達、全員が警察に呼ばれて調書取られるんだぞ。
買収・供応罪は貰ったほうも犯罪者だ。オレ達全員が、罰金刑や公民権停止になることは十分に考えられることなんだ。
それを知ってての今の発言かぁ!? 」
浜田さんも口を開きました。
「渡辺、松本はなあ、昨日は言えず、居られずだったんだ。実は『島田紳平』は松本のいとこで、実の兄弟以上の
付き合いがあって、前回の選挙で、松本は選挙事務長を務めていたんだよ。
選挙に関しての一通りの知識は、松本の方が上だ。だまって松本の言うことを聞けよ。」
「松ちゃん、みんなも…って…。」
「当たり前の話しだっぺ! 昨日オレ達は酒食の提供を無料で受けて、しかもお土産までもらって、
おまえから『選挙協力の依頼』を受けたんだ。オレ達は供応された状態だ。今現在な。
酒食だけなら証拠は残らないけど、カードの文面が昨日の供応罪の立証をしているんだ。
弁護士がどうのこうの言ってる前に証拠をつぶせ!あと香取だけなら渡辺!おまえが香取の家に行って来い!
何が何でもカードを取り返して来い! もし親父に渡ってたら、おまえが親父から取り返すんだ!
そして、奥さん、昨日のパーティーを『会費制の決起集会』にするんだ、今から全員に頭下げて、会費を徴収してください。
そして、『渡辺篤後援会』の収入として記帳し、支出も書き出して黒字で会計を締めてください。いいですか!」
「渡辺と奥さんに全部任せないで手分けしようよ。」と中居さん。
「ならん。何かの会合で『市議会議員』が代理を立てられるか? 代理を立てられるのは政治家では少なくとも県会以上。
市議会議員が代理なんか出席させたら、かえって評判を落とすだろ!?
もし、どうしてもの場合、渡辺の代理が務まるのは奥さんだけだ。
渡辺は元々他人と金の力に頼りすぎだ。猛省すべきなんだ。
市議会議員ってものそのものがわかってない。 いい機会だ。全て自分で片付けろ!」
全員が松本さんの檄に素直に反応し始めました。
「あなた、すぐに香取さんのところ行って来て。
稲垣さん、中居さん、浜田さん、みんなの家を教えて。私が行って会費いただいて来ます。」
「松本さん、オレ達、利佳子さんに同行するよ。それぐらいなら手伝ってもいいだろ?」と稲垣さん。
「いいでしょう。俺たちは山崎・田中・遠藤を連れて4時に戻ってきます。そこで改めて渡辺に話すことがある。
JCの人たちも、もし来れたら来て下さいな。浜田、今日は一日付き合ってもらうようだな、大丈夫か?」
「もちろんだ、よし行こう!!」
|
|
さて、このあと結局渡辺さんは立候補を断念します。
渡辺さんはたくさんの失敗をしてしまいましたが、ここまで読んでくださったあなたは
何が渡辺さんの最大の失敗だったかわかりますか?
それは…。
「一度に10人を、しかも『選挙』という事情を知らせずに集めてしまった」ことです。
私自身、こちらの事情も考えずに「行ってみたら選挙」「しかも協力依頼」では
さらにそれが最小単位の選挙「市町村区議会議員選挙」では、
いくら選挙大好きの選挙バカでも、これを受ける気にはなれません。
今からお願いする立場の人が、「人を呼びつける」とは…。なんという怠慢でしょう。
自信過剰!? 非常識!? いずれにしてもこの候補者に、このままでは未来はありません。
選挙参謀は最初から間違った価値観の候補者なんか担ぎません。苦労するだけですから…。
「後日、態よくお断りする」ということになるでしょうね。
もし、渡辺さんが一人一人の家を一軒づつ訪問して、
一人ひとり個別に協力をお願いしていたとしたらどうでしょうか?
松本さんは事情があって、渡辺さんを担げないにしてもこれだけ情に厚い人物です。
渡辺さんにとって有意義な訪問になったはずです。
「そんな公約で戦えるのか? リサーチしたほうがいいよ。」
と、いうような助言ももらえたでしょう。
浜田さんを訪問すれば、「それじゃあ利益誘導だよ、もっと考え直せよ。」
と、言われたかもしれません。
あとの8人にしても、それぞれの家でいろいろな情報を得られたはずです。
もちろん、マイナスの情報もです。
いつかは直面するマイナスの情報。今知るのと後で知るのはどちらに得がありますか?
さらに重要なことは、ビジネスの成功=票 ではないことに気づくはずです。
香取さんの家では、もしかしたらの親父さんの支持もとりつけたかもしれないのです。
つまり、より強固な真の協力者を得るチャンスを棒に振ってしまい、その仇を受けたのです。
もし、みんなの家を訪問したあとに「ホームパーティ」を企画していたら…。
少なくとも事件にはならなかったし、そもそも「ホームパーティ」の必要性もなくなっていたでしょう。
1対多数の戦略は、戦果の本質が見えません。自己満足で全てが終わってしまいます。
しかも、盲目のまま結果に至りますので、開票日までその惨状に気づきません。
1対1の積み重ねで初めて状況が見え、本質に近づけます。
マスコミのリサーチだってアンケートだって1対1の積み重ねではありませんか。
そして、サンプルが一定の数に達したとき真実が見え、価値を生み、
情報をコントロールする術にも巡り合えるわけです。
1対多数の戦略を企てるのは、1対1の地道な活動がある程度実を結んだあと、
選挙戦終盤以降に実行するものです。
世論は手を抜く候補者に対して、容赦なく制裁を与えます。
そして、1度金品で票を買ってしまうと散財するまであなたから金を奪い続けます。
逆を言えば、
手抜きをせず、きっちりと市民と対話ができ、本当に市民が何を欲しているかが掴めれば、
金と名誉をあなたに与えます。
石原慎太郎だって小泉純一郎だって、選挙のたびに大事な人の家を訪問しているはずです。
市議会という最小単位の選挙に出ようとしているあなたです。
あなたが直接知っている市内の知人には、あなた自身が出向き、きっちりと「出馬表明」を
その人のためにしなければなりません。
ここまでは、地方議会・首長・国会。新人・現職。全ての選挙候補者に当てはまる必須行為です。
この手間を省く候補者は、援助を受けられず、場合によっては裏切られる運命をたどります。
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長い文章、よくここまで読んでくださいました。ありがとうございます。
まだ、志村さんの話は途中なのですが、ちょっと息抜き、休憩しましょうか。
そして、もともとのこのサイトの目的を整理したいと思います。
- ごくふつうの市民が
- 半年後の市議会議員一般選挙に立候補し、
- お金をかけずに、
- 当選する。
ためにはどうすればよいか、そのことがこのサイトの目的で、他意はありません。
ここで最も大切なことは「市町村議会議員選挙」に限定していることです。
もし、これが都道府県議会議員以上の上級選挙の場合は全く違う初動を起こしますし、
「ふつうの人」にはハードルが高すぎる。
「お金をかけずに…。」というのも無理があるでしょう。
まず、都道府県議会議員以上の選挙の場合、通常記者クラブを通して出馬宣言をします。
つまり、あなたの出馬宣言を「新聞が記事にしてくれる」のですが、
市町村(政令指定都市を除く)議員の出馬宣言は、自力で広報しなければならないのです。
ということは、たとえ議員といえども、都道府県議会議員以上の政治家から見れば、
市町村議会議員は実に小さな存在なのです。
●選挙概要
| 選挙告示日 |
平成16年11月7日 |
当日の有権者数 |
148,398人 |
| 選挙執行日 |
平成16年11月14日 |
投票者数 |
90,602人 |
| 立候補者数 |
44人 |
投票率 |
61.05% |
| 定数(当選者数) |
33人 |
− |
− |
| 当選倍率 |
1.33倍 |
選挙発生事由 |
任期満了による |
●候補者別得票数・得票率
| 順位 |
候補者名 |
得票数 |
得票率 |
当落 |
| 1 |
T.I氏 |
4,016票 |
2.706% |
当選 |
| ‖ |
‖ |
‖ |
‖ |
‖ |
| 16 |
H.S氏 |
2,173票 |
1.464% |
当選 |
| ‖ |
‖ |
‖ |
‖ |
‖ |
| 33 |
J.M氏 |
1,632票 |
1.099% |
当選 |
| 34 |
M.O氏 |
1,619票 |
1.090% |
落選 |
| ‖ |
‖ |
‖ |
‖ |
‖ |
| 43 |
O.T氏 |
569票 |
0.383% |
落選 |
| 44 |
S.K氏 |
181票 |
0.122% |
落選 |
●上記の表から見えるコメント
- 当選倍率1.33倍…つまり落選者の方が圧倒的に少ない。(44人中11人)
- 投票率61.05%…5万人以上が投票しなかった。(誰も掘らなかった票田がある)
- 中位の当選者の得票率が1.4%…15万人から1800票を取るだけ。
- 最下位当選者と最上位落選者の得票数の差が17票(一票が重い)
- 44人中には「泡沫候補」もいる…まともな選挙をすれば実質当選倍率は1.33以下。
どうです?平均的な公立高校の受験倍率みたいでしょう。
つまり、ほとんどが当選。
「落選するほうが異常」これが市議会議員選挙の実態です。
私は、正々堂々と選挙を戦った戦士を、仮に落選しても敬う気持ちがありますので、
その人の心情や人柄を一切非難するつもりはありません。
しかし、何か大きな間違いを彼らは犯しているはずです。
その間違いに気が付き修正できていれば、34位から40位までの人は当選できていました。
ですからここで、実際にあった落選者達の間違いを挙げてみましょう
間違いがなければ当選圏内に確実に入れるわけですから。
(当落すれすれだった下位当選者の間違いも列挙します)
- 市議会議員選挙に似合わない派手なパフォーマンスが目立った。
- 市議会議員選挙に似合わない大げさな公約・コピーで印刷物を作った。
- 個別訪問をしていない。(戸別訪問は公選法上禁止行為)
- ポスターの写真がネクタイをしていない。
- あと1期やれば恩給(議員年金)が出るとふれまわった。
- 印刷物のセンスがあまりにも悪い。
- 出馬表明が遅すぎた。
- 出馬表明が早すぎた。(新人に限る)
- 他力をあてにしすぎ、自身の行動量が足りなかった。
- スタッフに恵まれなかった。
等々。挙げれば挙げるほど単純な理由です。
では、単純な過ちに気が付かない候補者本人とはどんな人物なのでしょう。
「平衡感覚のない人」です。
もっと簡単に言い換えると「バランスの取れない人」
「平衡感覚のない人」には大別して3通りがあります。
その1は、「独りよがりタイプ」です。馬力はあるが、全てを自分で決定してしまう人です。
このタイプの人には「客観」がありません。
おまけに人を信用していませんので「人の意見」を聞き逃してしまいます。
「リサーチ」なんか全く無用と考えています。
つまり「自分が重すぎることに気が付かない」人です。
このタイプの候補者は
- 印刷物のセンスが悪い。
- スタッフに恵まれない。
- 派手だけど中身のないパフォーマンス。
- 賛同してもらえない公約を挙げる。
と、いうような失態を招きやすいのが特徴です。
その2は、「評論家タイプ」です。理屈は良いが、戦略を立てるだけで終わる人です。
このタイプの人には「行動」がありません。
他人や組織。選挙ツールを頼りにしすぎますので、「なまけてる」と見られがちです。
「個別」や「ミニ集会」が苦手です。
つまり「一票の重さに気づかない」人です。
このタイプの候補者は
- 自身の行動量が足りなく、スタッフが苦労する。
- 大げさな公約を持ち出して、不信を買う。
- 他候補を中傷し、逆に痛手を負う。
- コピーや演説の内容(つまり主張)が抽象的で、意思が伝わらない。
と、いうような失態を招きやすいのが特徴です。
その3は、「僕(しもべ)タイプ」です。人の言う事は良く聞くが、一貫した主張がない人です。
このタイプの人には「頼りがい」がありません。
いくら訪問件数を重ねても「伝えるもの」がありません。
自分の足・体力だけが頼りなので「知識不足」と見られがちです。
演説やディベートが苦手です。
つまり「自分の軽さに気づかない」人です。
このタイプの候補者は
- 低俗な(金品を要求したり、個人的な陳情を持ち込む)スタッフを集めてしまう。
- 低俗な(金品を要求したり、個人的な陳情を持ち込む)組織や支持者が寄り付く。
- 低俗な外部からの力によって、方針やスケジュールを曲げられる。
- 情報に疎く、情報に振り回され、情報を操作できない。
と、いうような失態を招きやすいのが特徴です。
さて、ここで先ほど結論づけた1つの事項の再登場です。
《エラいのもいるけど総じてエラくない=ふつうの人そして論外もいる》
これは市議会の中身の話でしたね。
ここでわざわざ小さい字で書いた少数の「エライ人」「論外」の人たちは、
実は当落線上に大勢がいるのです。
「エライ人」の中には「平衡感覚のない」その1「独りよがりタイプ」・その2「評論家タイプ」の人たち。
「論外」の中には「平衡感覚のない」その3「僕(しもべ)タイプ」が存在する。
そして、ふつうの人たちは大体が、中位以上で当選しています。
よって、
ふつうの人=平衡感覚がある
エライ人・論外=平衡感覚がない
と、いう傾向がありそうじゃないですか?
であれば、ふつうの人は選挙に強いと説明できるのです。
|
平成18年8月26日 土曜日 志村家。
昼食のそうめんを食べ終わって、志村さんはリビングのソファで昼寝をしています。
思えば、昨夜までの一週間、ずっと「チラシ」を作っていて帰りが遅かった。疲れていました。
優花さんは典子ちゃんと一緒に、庭の雑草を抜いています。
晩夏の午後、いくらか風が涼しく気持ちがいい。幸福な休日です。
志村さんの携帯が鳴りました。新田からです。
「志村さんどうでした?」
「まあ、成功です。優花はだいじょうぶ、これで舟が出せます。」
「よかったですね、志村さん愛されていて。」
「ええ、今夜、娘が寝たら細かい話はするつもりです。ありがとうございました。」
「ところで、今、家ですか?」「優花さんは?」
「二人とも家に居ますよ。」
「ちょうどよかった、NHKつけてくれますか? 高校野球やってますから、出来れば優花さんと観てください。
今やってるこの試合だけでいいです。『何か』に気が付きますよ。」
「はい、わかりました。」
今大会優勝候補の大阪府代表「LP学園」対、初出場の福岡県代表「県立博多中央高校」の準決勝の試合です。
試合は既に9回裏、3−2。博多中央高校が1点を追いかける最後の攻撃回が始まろうとしていました。
優勝候補の甲子園常連強豪高校が、初出場の県立高校に苦戦している。
いや、初出場の無名高校がよくここまで耐えていると言うべきか。
カメラは檄を飛ばす博多中央高校の武田監督を捉えています。
監督の隣にはLP学園相手に9回を3失点に抑え、しかも準決勝まで一人で投げ抜いてきた「エース」の財津君。
「9回の裏、博多中央高校の攻撃は、2番 レフト 甲斐君。」
先頭打者がコールされると、満席の一塁側アルプス席から歓声がうねりだします。
初出場の博多中央が準決勝まで来るなんて、誰も予想していません。
今朝5時に博多から20台のバスに乗り込んだ地元の臨時応援団は、老若男女が汗だくで声をあげています。
カメラはアルプス席を映し出し、「おっしょい! おっしょい!」と博多山笠の掛け声で盛り上がる「博多っ子」を
アナウンサーが風物詩を紹介するかのように説明しています。
結局、「博多中央高校」はランナーを二塁へ進めるも、あと1点が取れずに敗れてしまいます。
ゲームセットのその瞬間。志村さん・優花さんは「あー。」と、ため息をついて悔しがりました。
志村さんも優花さんも関東の出身です。大阪にも九州にもゆかりはありません。
|
さあ!ここらで新田が締めましょう。
実はこの試合、「選挙の風」を説明するのにもってこいだったんです。
志村さんも優花さんもゲームセットのときに悔しがりました。
と、いうことは「博多中央高校」を応援していたんですね。
なぜ? 9回裏をたまたま見ただけ、しかも九州に縁のない二人が…。
実は志村さん夫妻だけではないんです。全国で同じようにテレビを見ていた人の大多数が
「博多中央高校」を応援していたはずなんです。
どうして? 理由は2つあります。
一つは「初出場・福岡県立博多中央高等学校」という校名と肩書きです。
「出場○回目・LP学園高等学校」と比べてみてください。
●普段甲子園なんかとは縁のない普通の県立高校の卒業生の数。
●甲子園常連の、宗教系私立高校の卒業生の数。
どちらが多いですか? 前者ですよね。
つまり、「初出場・福岡県立博多中央高等学校」に共感する人が圧倒的に多かった。
アルプス席の応援団に自分の高校時代を置き換えることができた。
あるいは母校を応援する自分の姿が、アルプス席にあった。
これが無意識のうちに「博多」を応援した理由の1です。
二つ目は「僅差で博多がLPを追いかけていた試合の流れ」です。
もし、大差であれば、視聴者の多くはテレビのチャンネルを変えていたはずです。
これが僅差であったため試合そのものが面白くなった。しかも新入幕が朝青龍と互角に
やり合っている模様です。ふつう、人の心理は「追われる者」より「追う者」を味方します。
なので、博多中央高校は全国の視聴者をテレビに釘付けにできたのです。
選挙では「博多中央高校の勝ち」
もう、おわかりですよね。
超強豪相手に互角に戦った博多中央高校はこの瞬間、「全国からの応援」という、
『風』を産んでいました。これは「視聴率」という数値にも表せられる事実です。
選挙でも時々「風」という言葉を使いますよね。
例えば、若い新人が、ベテランの長老市長に立ち向かう1対1の選挙で、
投票前日の調査では「僅差で現職リード」。という情報が入る。
ところが開票結果は「大差で新人の勝利!」 ということがよくあります。
「僅差で現職リード」という調査結果が確証高いものでも、こういうことが起きる。
これが選挙の風です。
この風は博多中央高校のように
「共感を呼ぶ肩書きを持ち・下馬評では不利・しかし僅差で追っている」という
三点が揃ったとき、自然発生する場合があります。
しかし、優れた選挙参謀は意図的にこの風を発生させることができます。
市町村議会議員の選挙では誰も「投票前日の支持率調査」なんてしてくれませんから、
選挙参謀、あるいは選挙陣営は「演出」によって風を吹かせます。
「LP学園に勝つ、風です。」
あなたと今後もご縁がありましたら、その具体的な方法はお授けしましょう。
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最後まで読んで下さったあなたへ。
こんな長い文章だけの当ページ。よくぞここまでたどり着いてくれました。
本当にありがとうございます。
私が、こんな長いページを作った理由は、
「選挙は難しくない。誰でも立候補し、当選できるんだ。」
と、いうことを伝えたかった。それだけです。
私は今までに12回ほど選挙に携わり、そのうち7回は陣営の要を担当しました。
成績は9勝3敗。
(なんだ、大した成績じゃねえな。)
その通りなんですが、私は負けた選挙からの方が得るものがたくさんあったと
思っていますし、負けた経験がなければこのマニュアルは出来ていなかったとも
思います。
先にもくどく申し上げたように、市町村議会議員の選挙は、ほとんどが当選。
落選するほうが異常、という世界です。
と、いうことは「敗因となりそうな要因」を除けば、それだけで当選が見えてくるものです。
さあ、勇気を出して立候補してみませんか?
あなたの親しい人が迷ってるんでしたら、背中を押してあげてください。
私が住むつくば市にも、全く存在価値のない古参の議員が数人居て、
700万円もの年収を持っていっています。
ですから、志村さんや島田さんのようなふつうの市民がたくさん議員になって、
「日本人の本当の生活苦、不安」を議会に届けてもらいたいのです。
私のマニュアルは「お金をかけない」が大前提になってます。
ですから、立候補を検討する人の最大の不安に、
対応できるものと自負しております。
そして、このマニュアルを、あなたと家族、後援会の幹部の方々と皆さんで、
熟読してください。絶対にあなたは負けません。
「博多中央高校」に吹いた「応援の風」が投票日に合わせて吹いてくれるはずです。
最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。
平成18年3月26日
新 田 亘 佑 |
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